『カラフル』森絵都|自分の見ている世界は、本当にすべてなのだろうか

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本・読書

「人は、見えている部分だけでは分からない。」

そんな当たり前のことを、改めて考えさせてくれる小説がある。

森絵都さんの『カラフル』。

タイトルからは、明るく楽しい物語を想像するかもしれない。

けれど、この作品で描かれているのは、人との関係に悩む気持ちや、自分自身を受け入れられない苦しさなど、誰もが一度は考えたことのあるような心の葛藤だった。

少し不思議な設定から始まる物語。

読み進めるうちに、そこに描かれているのは、決して特別な誰かの人生ではなく、私たちの身近にもある人間関係や心の揺れなのだと感じる。

私自身、サクサクと読み進めることができた一冊でもある。

読みやすいだけでなく、人の見方や自分が見ている世界について、改めて考えるきっかけを与えてくれる作品だった。

今回は、物語の詳しい展開には触れず、森絵都さんの『カラフル』の魅力を紹介したい。

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森絵都『カラフル』はどんな小説?

森絵都さんの『カラフル』は、少し不思議な設定から始まる物語。

タイトルから受ける印象とは少し違い、人の心や人間関係について考えさせられるテーマが描かれている。

まずは、どのような物語なのか、簡単に紹介したい。

少し不思議な設定から始まる物語

物語の主人公は、生前の罪によって輪廻のサイクルから外された魂。

ところが、天使業界の抽選に当たり、もう一度人生をやり直すチャンスを与えられる。

その条件は、自ら命を絶とうとした中学3年生の少年、小林真の体にホームステイすること。

そして、自分が前世で犯した罪を思い出すことだった。

少しファンタジーのような設定だが、物語の中心にあるのは、とても現実的な人間の感情。

この不思議な設定の先に、どんな物語が待っているのだろう。

そんな興味を引かれながら、読み進めることができる。

家族や友人との関係に悩む少年

ホームステイ先となった少年の周りには、家族や学校の友人など、さまざまな人がいる。

人との関わりの中で生まれる気持ちや、思うようにいかない現実。

自分の気持ちをうまく伝えられなかったり、相手のことを理解できなかったりすることは、誰にでもあるのではないだろうか。

思春期の少年を通して描かれる人間関係には、年齢を問わず考えさせられるものがある。

『カラフル』を読んで考えさせられる3つのこと

この作品の魅力は、物語のおもしろさだけではない。

人との関わり方や、自分自身の見方についても、考えるきっかけを与えてくれる。

ここでは、作品を通して考えさせられることを3つ紹介したい。

人はひとつの顔だけでは生きていない

私たちは、相手のほんの一部分を見て、その人のことを分かったような気になってしまうことがある。

優しい人、意地悪な人、頼りになる人、苦手な人。

けれど、人間はそんなに単純ではない。

誰にでも、周りに見せている顔と、見せていない顔がある。

自分が知っている姿だけが、その人のすべてとは限らないのだ。

身近な人であっても、本当の気持ちをすべて理解することは難しい。

そう考えると、今までとは少し違った目で人と接することができるかもしれない。

自分が見ている世界がすべてではない

つらいことが続くと、周りの景色まで灰色に見えてしまうことがある。

自分には何もない。

誰も分かってくれない。

ここから先も何も変わらない。

そんなふうに感じてしまうこともあるだろう。

けれど、自分が今見ている世界が、世界のすべてとは限らない。

見る角度が変われば、同じ景色でも違って見えることがある。

もちろん、考え方を変えるだけですべての悩みが解決するわけではない。

それでも、今見えているものだけがすべてではないと思えたら、少しだけ気持ちが変わることもあるのではないだろうか。

人は誰かとの関わりの中で変わっていく

人と関わることは、楽しいことばかりではない。

傷ついたり、すれ違ったり、理解してもらえなかったりすることもある。

それでも、誰かとの何気ない会話や、思いがけない優しさに救われることがある。

自分ひとりでは気づけなかったことに、誰かとの関わりを通して気づくこともある。

大きな出来事ではなくてもいい。

ほんの小さな関わりが、その人の世界を変えるきっかけになることもあるのだと思う。

『カラフル』はこんな人に読んでほしい

『カラフル』は、物語を楽しみたい人はもちろん、人との関係や自分自身について考えたい人にもおすすめしたい一冊。

ここでは、特に読んでほしい人を紹介する。

人間関係について考えることがある人

家族、友人、学校、職場。

私たちは毎日、さまざまな人と関わりながら生活している。

相手の言葉に傷ついたり、自分の気持ちをうまく伝えられなかったりすることもあるだろう。

そんなときに読むと、人を見る視点や人との関わり方について、改めて考えるきっかけになるかもしれない。

相手のことを理解しているつもりでも、実は知らない一面がある。

そんなことに気づかせてくれる作品だと思う。

自分自身を見つめ直したい人

自分の嫌なところばかりが目についてしまう。

周りと比べて落ち込んでしまう。

そんな経験は、誰にでもあるのではないだろうか。

自分のことを好きになれないとき、自分自身を違う角度から見つめ直すのは、簡単なことではない。

この作品は、自分が見ている世界や、人に対する見方について考えるきっかけを与えてくれる。

今の自分や周りの人を、少し違った視点から見てみたい人におすすめしたい。

読書が苦手だけれど、小説を読んでみたい人

小説を読みたいと思っても、長い文章や難しい表現が気になって、なかなか手を出せないこともある。

そんな人にも、『カラフル』はおすすめしたい作品だ。

私自身、サクサクと読み進めることができた。

読みやすい小説から読書を始めたい人や、久しぶりに一冊読んでみようと思っている人にも、候補にしてほしい。

読みやすさだけでなく、読み終えたあとに考える余地が残るところも、この作品の魅力だと思う。

まとめ|世界は思っているよりもカラフルなのかもしれない

森絵都さんの『カラフル』は、人間関係の難しさや、自分自身を受け入れることについて考えさせてくれる小説。

私自身、サクサクと読み進めることができた一方で、人の見方や自分が見ている世界について、改めて考えるきっかけにもなった。

人は、見えている部分だけでは分からない。

自分が見ている世界が、すべてではない。

そんなことを意識するだけでも、周りの景色や人との関わり方が、少し違って見えるかもしれない。

毎日同じ景色を見ていると、いつの間にか世界が単調に感じられることがある。

でも、本当はその景色の中にも、まだ気づいていない色があるのかもしれない。

もし最近、心に残る小説を読んでいないなら。

森絵都さんの『カラフル』を手に取ってみてはいかがだろうか。

読み終えたあと、あなたにはどんな色の世界が見えるだろう。

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